ビー玉

小さなタメ息と灰色の空、
枯れた紫陽花とパン屋の匂い、

季節を失った町で見落とした涙。
幾何学的に並ぶ室外機。
無意味に回る。
野良猫が笑う。
水黽が跳ねる。

転がり続ける僕の球体。
削り削られ、綺麗になった僕の心臓。
ビー玉一つ、旅に出る。
青信号は虚しく照らす。